本気でやれば、全部正解!

木村 周吾 2003年度 学部卒業

自動車工学研究室(小平研究室の前身 佐野研究室)所属
自動車部創設メンバー
車には全く興味なかったのに、絵が得意ということだけで誘われて入ったらとんでもなかった(笑)

参戦イベント
2001年 Hondaエコマイレッジチャレンジ桶川大会
2001年 Hondaエコマイレッジチャレンジ全国大会
2002年 Hondaエコマイレッジチャレンジもてぎ大会
2002年 Hondaエコマイレッジチャレンジ全国大会
2002年 Formula SAE Australasia (オーストラリア大会@メルボルン)
2003年 Formula SAE (アメリカ大会@デトロイト)
2003年 Hondaエコマイレッジチャレンジもてぎ大会
2003年 全日本学生フォーミュラ大会
2003年 Hondaエコマイレッジチャレンジ全国大会
2003年 Formula SAE Australasia(オーストラリア大会@アデレード)

現役時代の担当
外装デザイン、製作を担当。(Formula SAE初号機の外装デザインはカレーパンを食べていて思いついた)

2003年 現役最後のオーストラリア大会に出場

好きな言葉
「やってみなけりゃ分からない」
「未来が過去を決定し、現在を生成する」(時間哲学者 ハイデガーの言葉。ざっくりいうと、目指すところが明確になることで、過去の経験の意味が決まり、現在の在り方が見出されるという意味)
「事が順調に進んでいるうちは何も始まってない。しんどくなったところが本当のスタート」

卒業後の就職先、専門分野、現在など
大学で「物を作ること」の楽しさを知り、昔から好きだった「木という材料」に触るため、卒業後は高等技術専門校へ進み、木工工芸の道を志して、いきなり全国技能五輪大会で銅賞を獲得したりしました。
しかし、在宅介護の会社を経営していた父が急逝したことを受けて、父の会社の手伝いに入り、現在は社長をしています。
非常に厳しい経営状態で引き継いだため、現在は経営再建のために奮闘しながら、新しい分野にもチャレンジしています。

就職先で生きたこと、TDU夢工房経験者ならではのこと
仕事の分野が違うので、直接的に「このスキルが役に立った」ということはあまりありませんが、仕事におけるスタミナとか、課題との向き合い方という点においては、大いに夢工房の経験が影響しています。

「本気グセ」と言ったらいいでしょうか(笑)

夢工房での「本気でやる経験」が、目の前の課題に本気で取り組むクセを着けてくれたように思うんです。

「何が何でも何とかする」という覚悟とか「自分なら何とかできる」という自信は、困難にぶち当たったときの瞬発力になりますが、それらがどこから来たのか考えてみたら、「本気グセ」でした。

何の仕事でもそうでしょうし、人生でもそうでしょうが、「上手くいかない」「思い通りにいかない」ということは常にあります。

そういう時、私はワクワクするんです。
「この難局をクリアした時、自分はどんな風になっているんだろう。その自分を見てみたい!その自分は、今度は何ができるようになっているんだろう。」というワクワクです。(もちろん、うんざりすることもありますよ(笑))

夢工房での壮絶とも言える経験が、どれだけ自分を成長させてくれたかを感じているからこそ、「困難を乗り越えた後」を想像してワクワクしちゃうんでしょうね。

そして、ワクワクするだけではなく、困難に対して「本気グセ」で立ち向かい続けるしなやかな心とか、転んでもまた立ち上がって挑もうと思える勇気というものも、私は夢工房でその土台を築いてもらったなとつくづく感じています。

まだまだ私も成長の途上ですが、「本気になって、がむしゃらに世界一に挑む」という経験があったからこそ今の自分があり、「やりたいと思ったらチャレンジしてみる」という生き方ができるんだろうなと思っています。

特に印象に残っている、現役当時の出来事
あまりにも濃厚な期間だったので枚挙に暇がありませんが、一番最初に思い出すのは、夜中に作業をしていたら鉄板が飛んできたことでしょうか(笑)
製作が思うように進まず工房内がピリピリしている時期、メンバー間で衝突が起き、頭にきた一人が手元にあったチェーンカバー(帯状のぶ厚い鉄板)を投げちゃって、飛んできた先が私でした。もちろん、ケガが無かったので笑い話になるわけですが、要は「それくらい、皆が本気だった」ことの現われだったなと思います。(でも、部品は投げちゃだめです(笑))

そうそう。当初「一つの教室」に過ぎなかった夢工房を「こんなところでマシン開発ができるか!」と、教壇や黒板を撤去し、窓をぶち抜いてシャッターにしたり、完全に他の学生たちから浮いた存在でしたが、チーム皆がただひたすらに「この車を完成させたい!走らせたい!一番になりたい!」と、一生懸命に走りまくる姿を見ながら「自分はただならぬことに参加しているんだな」ということが、とても誇らしく思えました。

他にも、あまりのプレッシャーに先生との打ち合わせ中に気を失ったこと、屋外作業が中心で寝るのも外だった私に先生が発泡スチロールの板を買ってくれて、冬でも寝汗をかくくらい暑かったこと、自分が作った外装デザインが海外の学生たちに「セクシーだね」と人気だったこと。どれも、どうしようもないくらい愛しい想い出であり、今の自分を作ってくれています。

2003年のアメリカ大会でオーストラリアのライバルと再会

現役生にメッセージ
今、夢工房で苦悩しながら、寝る間を惜しんで頑張っている皆さん、まずは本当にお疲れ様です。
私から現役の皆さんへ伝えたいことは「失敗してもいいから本気でやる」ということです。

失敗とは「可能な限りを尽くしたうえで、目標とした成果を得られなかったこと」だと、私は定義しています。
一生懸命にやらずに、期待した成果に至らないのは、そうなって当然、ただの「怠慢(悪い失敗)」です。

「怠慢」と「失敗」は、目に見える結果は同じですが、意味が全く違います。
ここは明確に分けなければなりません。
「怠慢」から得るものは何もありませんが、「失敗」からは「成功」以上に得るものがたくさんあります。
これは、失敗を経験した人でないと分からないものでもあります。

失敗は人やチームを強くし、思考力やスキルを高めてくれます。
しかし、失敗により挫折することもあります。
挫折から再び立ち上がらせてくれるのは「こうなりたい、こうでありたい」というあなた自身の強い願望と、その想いを同じくしてくれる仲間たちです。

私は夢工房でたくさん失敗をしました。精神的にあまり強くなかったので、挫折もしました。チームにいっぱい迷惑もかけました。
しかし、そんな私を再び立ち上がらせてくれ、失敗経験を自信に変えてくれたのは、間違いなく小平先生とチームの仲間達でした。

夢工房では「失敗=終わり」ではないんです。
「失敗するかどうか」よりも「これをやってみたらどうなるか」を、仲間たちと一緒に悩み、苦しみ、本気で試せるのが夢工房という場所であり、チームです。

こんなに思い切り失敗できる場所は、そんじょそこらにはありません。
そんな場所に、皆さんはいます。

上手くいかないことも多くて、悩むことも多いと思う。
迷うことも多いと思う。
でも、思い切りやっていい!一生懸命やっていい!恥かいていい!

夢工房に於いて、正しいことはただ一つ!本気でやる!
それ以外は全て、枝葉の話しです。

「やりたいことをやれる自分」に向かって、挑戦者であり続けましょう。
私も今もってなお「挑戦者」です。

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