フォーミュラSAE・ ミニF1で人材育成
私が所属するアメリカの自動車技術学会(SAE)では、学生を対象とした技術教育競技を行っている。そのなかのフォーミュラSAEは、20年以上の歴史があり、アメリカ、イギリス、オーストラリアの3箇所でイベントが開催される国際イベントに成長した。これは、610ccまでのエンジンを搭載した小型フォーミュラカーを設計製作させ、エンジニアとして問われる能力や、車両の実際の走行性能を競う競技である。
この卒業生たちの業績は目覚しい。かつて壊れやすく性能が悪かったアメリカの自動車が最近高性能になったのも、このフォーミュラSAEの卒業生がアメリカの三大自動車メーカーに毎年多数採用されているからである。また、レース界でも、インディカー、F1などのトップクラスの競技で、この卒業生が優秀なエンジニアとして多数活躍している。
先週末、私はこのフォーミュラSAEのオーストラリア大会に競技スタッフとして参加してきた。参加チームは、地元オーストラリアの大学のほか、ドイツ、アメリカ、日本からもあった。日本からの初参加だった東京電機大学チームは、とても優れた設計と高い走行性能で、大会の注目集めただけでなく、この競技にあらたな技術トレンドを創り出す活躍をした。
学生の活動に対して、欧米企業やレース業界は積極的に支援をする。それで優秀な人材を発掘できることが、自分たちの利益になるだけでなく、未来の社 会への貢献にもなると考えているからだ。一方、日本では、まだ目先の利権に走る企業や団体が多い。未来を担う人材への支援をしなければ、日本の未来は危うい。
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